八尾市

トイレはそれを聞くと、思わず長すげた大煙管を床におとして、口をぽかんとあけたが、そのまま数分間のあいだは開いた口もふさがらなかった。あれほど親交の悦びを論じあった二人の友は、じっと向きあったまま、ちょうど昔よく、どこの家でもの両側に相向いにかけてあった二枚の肖像画のように、互いに穴のあくほど相手の顔を見つめ合っていた。とうとうトイレは八尾市 蛇口水漏れをひろいあげて、下から相手の顔を見あげながら、この男は冗談を言ってるのではなかろうか、相手の口許に微笑の影でも浮かんでおりはしないかと、それを発見しようと骨折ったが、それらしいところはく、それどころか反対に相手の顔はいつもより真面目に見えるくらいであった。それから今度は、もしやこの客はどうかして不意に気でも違ったのではないかと思って、こわごわその顔をじっと見まもったが、相手の眼はしかし飽くまで澄みきったもので、狂人の眼の中にちらつく、あの異様な、落着きのない閃めきなどは露ほどもなく、どこからどこまでもきちんとして、少しも乱れたところがなかった。